太田西ノ内病院のME室には、「臨床工学技士」の国家資格をもつスタッフが所属しています。医療機器の発展とともに管理する医療従事者にも高い能力が求められる時代となっています。太田西ノ内病院のME室では「安全を極めた機器提供」「信頼ある技術提供」を基本理念とし、臨床工学技士が各現場で高い専門性をもって業務を行っています。また、系列の太田熱海病院の業務も兼務しており、機器管理業務と透析業務に従事しています。自らの知識・技術を極めるために各種認定士の取得にも積極的です。現在、医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト／シェアの推進により臨床工学技士の業務範囲が追加され、活躍の場が増えています。技術部門として急性期医療から慢性期医療まで幅広く地域医療に貢献できるよう日々邁進しています。

業務紹介

機器管理業務

機器管理業務では人工呼吸器・ポンプ類・モニタシステム・除細動器・保育器などの保守管理を行っています。当院ではメーカー主催の研修などを積極的に受講し、定期点検などを自分たちで行うことで機器の理解を深め、トラブル時などにも迅速な対応ができるように心がけています。人工呼吸器業務では、ICU・NICUなどの集中治療部門をはじめとした院内使用の他に、小児科を中心とした在宅人工呼吸にも携わっており、他の部署や関係機関と連携を図りながら患者様やご家族が安心して在宅生活をおくれるようにつとめています。また、それぞれの病棟に合わせた勉強会を行い、医療機器を安心して使える環境づくりにつとめています。

血液浄化業務

当院の血液浄化業務は集中治療室および透析室での血液浄化を行っています。集中治療室では、重症患者様への出張透析・持続的血液浄化・血漿交換・エンドトキシン吸着など地域の拠点病院、三次救急医療機関として、緊急時にも幅広い疾患に対応できるシステムを整えています。当院の透析室は51床あり、外来通院患者様や入院中の患者様への血液透析を行っています。臨床工学技士は透析装置の機器管理業務も担当し、透析液清浄化の管理や習得したメンテナンス技術を用いて安全な治療に貢献しています。日々患者様のシャント管理も行い、治療となれば経皮的VA拡張術（VAIVT）の清潔野介助も行い医師のサポートをします。当院には透析導入期の患者様も多く、シャントの発達状態観察や穿刺部位選定などの業務も行っています。

心臓カテーテル業務

心臓カテーテル室では狭心症・心筋梗塞・不整脈・心臓弁膜症の検査や治療、末梢動脈の治療などが行われています。臨床工学技士はポリグラフ・血管内超音波診断装置（IVUS）・体外式ペースメーカなどの医療機器の操作や各種デバイスやデータの管理、清潔野での医師のアシスタント業務を行っています。緊急時には補助循環装置（IABP・ECMO）の操作をします。また、当院は三次救急を担う施設であり、院外心肺停止の症例にはECMOを用いた体外循環式心肺蘇生法（ECPR）に携わります。心臓カテーテル室でのチームワークを大切にし、臨床における重要な役割を担い業務を遂行しています。

心臓血管外科業務

心臓血管外科領域における手術の中で、心臓弁膜症・虚血性心疾患・大動脈疾患などに対する開心術では心臓を止める必要があるため生命維持管理装置である人工心肺装置を用いた体外循環の管理を臨床工学技士が行っています。心臓と肺の機能を代行する重要な役割を担っており、心臓血管外科医・麻酔科医・看護師などと連携をとりながらチームを支える「柱」の一員として安全に手術が遂行できるように心がけています。手術の中では補助循環装置（IABP・ECMO）が必要となる場合もあり、導入から離脱までの管理を行っています。緊急手術に関しても対応できる体制を整えています。また、腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術時の自己血回収装置の操作や、ステントグラフト内挿術の医師のサポート業務も行っています。

手術室業務

近年、高解像度のモニターと手術支援ロボットの普及により、内視鏡外科が占める手術の割合が増加しています。複数の精密な機器を使用する事と、修理件数も多く費用も高額であることから、臨床工学技士の参加による管理が求められています。当院では2000年より手術室業務を開始しています。2022年に低侵襲手術支援ロボットda Vinci Xiを、2023年に3D・4K・IR対応内視鏡システムELITEⅢを4台導入しました。9つの診療科で、年間900件程の手術に携わっています。機器の運用・更新・選定の管理業務を始めとし、セッティングや点検、更に立ち会い業務も積極的に行うことで少ない台数での運用と迅速なトラブル対応を実現しています。その他の業務として麻酔器や患者監視モニター、各種レーザー、ラジオ波凝固装置、手術用顕微鏡などの機器の点検、操作、トラブル対応も行っています。

取得認定士情報