専門治療
当科では、胸腔鏡(内視鏡)手術を積極的に行なっており、現在はII期までの肺癌と重症筋無力症・小型胸腺腫に対しては低侵襲手術として胸腔鏡手術を施行しております。
(図1:胸腔鏡下肺葉切除の手術創)
また重症筋無力症は若い女性に多い疾患であるため、早期の回復が得られると同時に美容的にも胸骨正中切開を回避できる胸腔鏡手術の利点は大きいと判断されます。(図2:重症筋無力症の手術創)
これらの内視鏡手術の技術と機材を応用することにより開胸手術も手術創縮小と低侵襲化が可能となり、現在ではほとんどの手術に胸腔鏡を使用しております。
肝臓のように切除後に再生しない肺では、機能温存の観点から術前の肺機能評価がとても大切です。当科では、どこまでの切除が必要か?どこまで切除できるのか?を確実に見極めて、個々の患者さんに適した範囲内で、できるだけ機能温存を目指した手術を行っています。肺葉切除と区域切除の併用、管状肺葉切除から拡大管状肺葉切除までを行なって、合併症が多く術後遠隔成績が劣る肺全摘除術をできるだけ回避するように努めています。(図3:肺全摘術前後の胸部X線写真、図4:拡大管状肺葉切除術の模式図、図5:拡大管状肺葉切除施行例の胸部X線写真)
当科の手術例は地域的な特性から全国集計よりもやや進行した症例の割合が大きくなっており、手術内容も大きな手術(管状肺葉切除、肺全摘など)の占める割合も高くなっています。
(図6:肺癌手術症例の分析・術後病理進行期、図7:肺癌手術症例の分析・手術術式)
最近2年間の肺がん手術症例の分析・術後病理病期
最近2年間の肺がん手術症例の分析・手術術式
肺癌術後は進行期に応じて外来で補助化学療法を行い、定期的に経過観察を行なっています。通常術後2年までは2~3ヶ月毎、その後5年までは3~4ヶ月毎に受診していただいています。肺癌術後は胃癌・大腸癌よりも転移・再発が多く、定期的な経過観察は重要です。早期に発見できれば、定位放射線治療、再切除、化学療法など有効な治療法があります。
難治癌の代表である肺癌は進行が速く、救命のためには早期診断と早期治療が重要です。「直りにくい肺炎?」は肺癌かも知れません!2~3ヶ月の経過観察で改善が見られない場合は、積極的にご相談ください。