太田西ノ内病院 精神科
食事を摂る行動の異常を、摂食障害と呼びます。代表的なものに、神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)があり、これらは共に、若い女性に好発します。神経性無食欲症は、肥満を嫌がる気持ちから、無理なダイエットをして発症すると言われていますが、経過の中で神経性大食症と同様の過食パターンが出ることもあります。
これら二つの病気の特徴を簡単に記しますと以下のようになります。
・標準体重の85%を下回っても食事を拒む。
・体重が著明に減少しても、体重増加に対する恐怖心が強い。
・自分の体型を客観的に評価できない(大変痩せていても、太っていると思う)。
・無茶食いを繰り返し、この行動を止められないと自覚している。
・体重増加を防ぐために不適切な代償行動をする。
(自分で吐く、下剤・利尿剤の使用、絶食、過激な運動)
・少なくとも3ヶ月間、週2回以上の無茶食いがある。
さてこれらの病気は、「肥満を嫌がり、無理なダイエットをする」だけで生じるものでしょうか?・・無理なダイエットもひとつの要因ですが、加えて家庭環境が大きく関係しています。人間は成長過程で、情緒・人格の発達を遂げていきますが、この発達には、家庭での親との情緒的な関係が必要です。この家庭環境、親子関係に問題があると、情緒的、人格的発達にゆがみが生じ、その結果、摂食障害へと発展していくものがあると考えられています。そのような家庭環境としては、母親が過干渉で支配的であり、逆に、父親は無干渉である場合が多いと考えられています。
従って、治療としては、患者への精神療法や薬物療法のみならず、家族療法も行われています。
尚、摂食障害は、うつ病、脳器質性疾患、体重減少を来す内科的疾患などを原因とすることもあり、早めに外来を受診し適切な診断を受けることが重要と考えられます。
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