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更年期障害について

太田西ノ内病院 産婦人科

 閉経とは、卵巣の活動性が低下することにより、それ以後永久に月経が停止することを指します。
更年期とは、閉経前後5年の計10年間とされます。本邦において閉経年齢の中央値は52.1歳との報告があります。近年は長寿化が進み、女性の人生1/3以上の時期は閉経期となっています。女性の生涯において加齢による精神・身体機能の変化が最も著明に現れる時期が更年期であり、この時期から始まる女性ホルモン(エストロゲン)欠乏状態はその後の約30年におよぶ人生の質を左右することとなります。更年期障害はこの精神・身体機能の急激な変化によって起こると考えられています。

更年期障害の諸症状

大きく分類すると、以下の3種類に分けられます。
1)自律神経失調症状
 ・血管運動神経症状:のぼせ、発汗、寒気、腰・手足の冷え、動悸など
 ・胸部症状:胸痛、息苦しさ
 ・全身的症状:疲労感、頭痛、肩こり、めまい
2)精神的症状
 ・情緒不安定、イライラ、怒りっぽい
 ・抑うつ気分、涙もろくなる、意欲低下
 ・不安感
3)その他の症状
 ・運動器症状:腰痛、手のこわばり、関節・筋肉痛、むくみ、しびれ
 ・消化器症状:嘔気、食思不振、腹痛、便秘・下痢
 ・皮膚粘膜症状:乾燥感、湿疹、かゆみ
 ・泌尿生殖器症状:排尿障害、頻尿、性交障害、外陰部違和感
本邦の更年期障害の症状として最も多いものは肩こりで、次いで疲労感、頭痛、のぼせと続きます。しかし、発汗やほてりなどは夏季に多く自覚され、うつ症状は冬に増えると言われているため、発現する症状は季節や個人の背景などにより強く影響される可能性があります。

診断するには

更年期障害の診断には、

  1. 不規則ないし消失した月経
  2. 症状を整理し、エストロゲン(女性ホルモン)低下症状と特に関連の深い血管運動神経症状を認める
  3. 他の器質的疾患を否定できる
  4. 血液検査で卵巣機能の低下を認める

などが重要です。

治療方法

1)薬物治療
 ・ホルモン補充療法:ホットフラッシュやのぼせ、発汗などの症状に有効です。
  骨粗鬆症の予防効果もあります。
 ・漢方療法
 ・その他:抗うつ薬、精神安定剤、催眠剤、鎮痛剤などが適宜服用されています。
2) 心理療法:ストレス解消法や環境の整備などをアドバイスしたり、カウンセリングなど行います。
3) 食事療法:バランスのとれた食事をとることが大切です。
4)運動療法:ストレスの解消と共に、生活習慣病予防や骨粗鬆症予防になります。

症状に心当たりのある方でお困りの方はお気軽にご相談下さい。
参考文献:女性医学ガイドブック 更年期医療編 2014年度版

 
 

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