太田西ノ内病院 産婦人科
風疹は風疹ウイルスの感染により起こる病気で、症状としては熱が出たり、皮膚に赤いできものができたり(発疹といいます)、耳の後ろや首のリンパ節が腫れたりします。
感染した人が咳やくしゃみをした際に、口や鼻から飛び出す微粒子にウイルスがのって移動し、近くにいる人の鼻や口に入り込み感染します。飛沫感染と言います。
ウイルスに感染しても14〜21日間は症状がありません。(潜伏期といいます、)
その後に全身の発疹、発熱、頸部などのリンパ節の腫れがみられ、発症前数日から発症後1週間くらいはウイルスが排泄され他人にうつる可能性があります。
時に高熱が続いたり脳炎を併発することもありますが、大抵は特に治療をしなくても熱、発疹とも3日程度で消失するので、俗に3日ばしかと呼ばれます。
血液検査で風疹抗体価(イメージとしては風疹ウイルスと戦う武器=抗体であり、抗体価とはウイルスと戦う攻撃力を示しています)を調べることで確定診断となりますが、感染した人の15%程度は症状の現れない感染(不顕性感染)です。
妊娠20週までの妊婦が初めて感染した場合、風疹のウイルスは胎児にも感染して胎児に先天性風疹症候群を出現させることがあります。発生率は約20%です。
先天性風疹症候群とは、白内障、心疾患、難聴、小頭症などがみられる先天異常で、その発生頻度は感染して発症した妊婦さんの週数が早いほど高いと言われています。
風疹はワクチンによる予防が可能で、2013年度から定期接種は男女とも1歳児(第1期)と小学校入学前1年間の幼児(第2期)に原則として、麻疹風疹混合(MR)ワクチンが接種されるようになっています。この間に接種をうけると、公費負担を受けることができ、通常無料または若干の自己負担のみで接種できます。
しかし接種をうけていない成人も多いため、風疹抗体陰性の妊娠前の女性は予防接種を受けることが推奨されています。特に30〜40代の男性は免疫を持っていない可能性が高いと言われています。既に妊娠している場合は感染の危険があるため、ワクチン接種はできませんし、ワクチン接種後は2か月くらい避妊することが望ましいとされています。妊娠前に2回(子どもの頃も含めて)の予防接種をうけることによって、成人女性なら妊娠中に風疹にかかることを予防し、または妊婦以外の方が妊婦などに風疹をうつすことを予防できるとされています。
当院でも妊婦さんの初期の血液検査で風疹抗体価を調べています。また、感染の危険のある場合は、抗体の精密検査をする場合があります。免疫があるかどうか知りたい方、感染したかどうか心配な方、予防接種を希望される方はいつでもご相談ください。
なお、自治体によっては風疹抗体検査やワクチン接種をカップルで受けると助成金を出してくれます。例えば郡山市はどちらの助成も行っているとのことです(2018年5月現在)。皆さまもお住まいの自治体にご確認をお願いします。
一般財団法人 太田綜合病院 Copyright © Ohta General Hospital All rights reserved .