太田熱海病院 眼科
白内障手術は、超音波白内障手術装置が使われるようになり、また、小切開用の眼内レンズを移植するようになったおかげでとても安全で効果の大きい洗練された手術となりました。
手術は短時間(10分以内)で終わり、手術中はまったく痛みはなく、注射をしないので麻酔さえ痛くありません。手術の翌日には眼帯をはずして、良好な視力を回復することができます。手術の後は特別なことをする必要もなく、ただ点眼薬を1日に3回つけるだけです。(くわしくは「やさしい白内障のおはなし」をご覧ください)
<術後写真1>
後発白内障はなく、後嚢は透明を維持している。中央のスジは混濁ではなく、後嚢に光があたって反射が見えている。
その安全な白内障手術のほとんど唯一の問題点が「後発白内障」といわれるものです。 白内障手術では、混濁した水晶体を除去するためにまず水晶体が入っている袋(水晶体嚢)の前の部分(前嚢)を丸く切り取ります。それから超音波装置で水晶体を破砕して吸引し、そのあとに眼内レンズを移植します。このとき水晶体嚢の内側には水晶体上皮細胞という細胞が残っていて、これが水晶体嚢のうしろの部分(後嚢)に広がっていって変性し(線維性化生といいます)、水晶体嚢(後嚢)が濁り、進行すると視機能が低下します。これが後発白内障です。早いケースでは手術をして数週間後に発生することがあります。遅いものでは手術後数年経ってから見られることもあります。
後発白内障の症状は、白内障と同じ視力低下ですが、少しずつ混濁が進行した場合には症状がわかりにくいことがあります。
<術後写真2>
後発白内障がみられる。水晶体嚢(後嚢)全体がベール状に混濁している。
後嚢が多少混濁しても視力に影響がなければ、そのまま放っておいて構いません。もし後発白内障のために見づらさを感じるようになれば治療が必要になります。後発白内障に対する治療は入院ではなく外来で行なうことができます。レーザーを使って後嚢を切開しますが、数分で終了し、痛みもありません。翌日にはもとの視力に回復します。
<術後写真3>
後嚢混濁に対してレーザー後嚢切開を行なった後の写真。
後嚢はひし形に切開されて混濁は取り除かれ、視力は回復した。
治療が必要なほど後嚢混濁を起こす人は、手術をした人の100人に1〜2人ぐらいですので心配することはありません。たとえ後発白内障になっても簡単に治せるので問題ありません。ただし、白内障の手術をしたあと、視力がひどく下がってしまってから眼科を受診し、進行した後発白内障と診断されることがあるので、術後の定期的な検査、診察は大切です。また、手術をしたあと見え方がおかしいと感じたら必ず受診するようにしてください。
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