太田熱海病院 眼科
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Q1 白内障って何? | ![]() |
Q2 白内障にはいつなるのでしょう? |
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Q3 白内障の症状は? | ![]() |
Q4 白内障の治療は? |
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Q5 白内障手術をわかりやすく説明すると? | ![]() |
Q6 いつ手術すればよいのでしょう? |
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Q7 手術は1回でいいの? | ![]() |
Q8 実際に手術を受けられた方は |
多くの人は年齢とともにシラガが出てきたり、皮膚にシミがでてきたりしますね。眼にも同じことが起こり、瞳のうしろにある透明な「水晶体」の中でタンパク質が変化して白く濁ってくることがあります。これが白内障です。
図のように「水晶体」はカメラのレンズと同じ役割を果たしていますから、これが濁ってしまうと眼の中に入ってくる光の量が減ってしまい、物がはっきり見えなくなってしまいます。
白内障の中で一番多いのが加齢性白内障で、年齢が上がるにつれて現れるタイプのものです。70歳代であればほとんどの人に白内障がみられます。しかし、糖尿病の人は水晶体の混濁が速く進行するので40〜50歳でも白内障になりますし、より若い人でもアトピーが原因で白内障になることがあります。40歳代の男性の場合では、体に他の病気がないのに片方の眼に白内障が現れることがあります。
(中等度の白内障)(高度に進んでしまった白内障)
・物がぼやけて見える(人の顔やテレビなどがはっきり見えない、本や新聞の文字が読みづらい)
・まぶしい(日中の日射しがつらい、夜間のヘッドライトがまぶしい)
・物が二重に見える(たとえば夜に片目で月を見ると2〜3つに見える)
・眼が疲れやすい
などの症状が現れます。
白内障は少しずつ進んでいくことが多いので意外と症状に気がつかないことがあります。
また、片眼が白内障になっても、もう片方の眼が見えていると白内障に気がつかないこともあります。見え方が少しおかしいなと思ったら、眼科で一度検査を受けてみると白内障の進み具合がわかります。
白内障がそれほど進んでいない場合には、目薬で白内障の進行を予防します。ただし、これはあくまでもそれ以上進まないようにするためのもので濁ってしまった水晶体を透明にもどして白内障を治すというわけではありません。視力に影響が出てきたり、まぶしい・二重に見えるなどの症状が現れてきた場合には手術が必要になります。
【手術の前に準備することは?】
手術の3日前から抗生剤の目薬をつけます。それ以外は何も必要ありません。
【手術は痛くない?】
手術は局所麻酔で行ないますから、手術の間まったく痛みはありません。局所麻酔にはいくつもの種類がありますが、太田熱海病院では点眼麻酔を使用するので麻酔自体もまったく痛みがありません。
【手術時間はどれくらい?】
手術は8分間で終わります。少し眠くなる点滴をして、手術室に流れているきれいな音楽を聴いているうちに終わってしまいます。すっかり眠ってしまって知らない間に手術が終わってしまう方もいます。
【手術の内容は?】
太田熱海病院では白内障手術を受けるすべての患者さまに、超音波水晶体乳化吸引装置を用いた小切開白内障手術を行なっています。この方法はとても優れた術式で、炎症も乱視も少なく、手術後すぐに良い視力を得ることができます。
(白内障手術の様子)(超音波白内障手術装置)
【実際に手術時に撮った写真を使って手術の流れを簡単に説明しましょう。】
1.はじめに水晶体のまわりにある袋(水晶体嚢)を丸く切り取ります。
2.次に濁った水晶体を超音波で取り除きます。
3.最後に、残った水晶体嚢に人工の眼内レンズを移植します。
手術に必要な幅は約3mmと短く、出血もありません。図でみると次のようになります。
【すぐに見えるようになるのでしょうか?】
手術直後に眼帯をしますが、翌日の朝には眼帯をはずします。この時点ですぐに見えるようになります。眼鏡やコンタクトレンズでは遠近両用タイプがありますが、眼内レンズには遠近両用タイプは普及していません。ですから遠くがはっきりと見えるようになりますが、近くは老眼鏡をかけて見るようにします。
【手術のあとはどうするのでしょうか?】
手術翌日に眼帯をはずしたあとは、手術をした方の眼でいろいろと見てください。眼を閉じている必要はまったくありません。もちろん眼帯をする必要もありません。ただ、3種類の目薬を1日に3回つけるだけです。
【入院期間は?】
片眼の場合には3日間、両眼だと5日間の入院となります。時間のない方や都合のつかない場合には、さらに入院日数を減らしたり、日帰り手術にすることもできます。
【付き添いについて】
当院は基準看護ですので特に必要ありません。
【費用は?】
老人保険の場合、片眼だとおよそ20000円(3日入院)、両眼だと37200円(5日入院)になります。社会保険ならば、それぞれ40000円、75000円になります。
【退院したあとの診療は?】
退院後1週間してから診察があります。そのあとは1か月後、2か月後、3か月後、6か月後の診察と間隔をあけていきます。毎日診察する必要はありません。
【すぐに仕事に戻れるのでしょうか?】
手術をした翌日に仕事をしても問題ありません。車の運転もかまいません。眼をぶつけたりしないように気をつければ、ほとんどのことが可能です。
【手術のあとの注意することは?】
眼に水が流れ込むといけないので、手術後1週間は洗顔と洗髪はできません。顔は濡らしたタオルで拭くだけにしてください。洗髪は美容室でするようお願いします。
昔、白内障手術の機械がなかった頃は、白内障が相当進んでほとんど見えなくなってから手術をしていました。現在は超音波白内障手術装置を使って手術を行なうので、比較的早い時期に手術をするようになりました。
具体的には視力が0.6〜0.7ぐらいまで悪くなれば手術をすることが多いですが、これには個人差があります。たとえば、視力が1.0ちかくあってもまぶしいという症状がひどければ手術をしますし、運転をされる方は安全のため、または免許更新のために早めに手術をすることがあります。
また、時間が経って白内障が進んでしまうと、超音波装置では手術できないほど水晶体が硬くなり、昔ながらの方法(眼の表面を切る幅が10mm以上と長く、治りが遅い)で手術をしなければならなくなってしまいます。それに白内障が進行して水晶体が厚くなりすぎると、緑内障発作を起こすこともあります。最終段階まで進行すると水晶体タンパクが眼の中に溶け出して、重症の緑内障になることさえあります。
ですから、悪くなるまで我慢していても何もよいことはありません。視力の衰えを感じていて、その原因が白内障であればいつでも手術を受けてよいのです。そのときが手術をするのに最適な時期といえますし、まだ軽いうちに手術を受ける方が手術も簡単で良い結果が得られるということです。
眼科における他の手術(たとえば緑内障手術や網膜剥離手術など)と違って、白内障手術は必ず一回で終わります。ただし、手術をして数カ月から数年たつともう一度視力が下がることがあります。これを後発白内障といいますが、発生率は3%程度と少なく、もし後発白内障と診断されても外来でレーザー治療をすればすぐに視力は回復します。(くわしくは「後発白内障とその治療」をご覧ください)
手術のとき、水晶体の代わりに移植する眼内レンズは40年の歴史があり、手術のあと眼の中で壊れたり、濁ってきたりすることはありません。ですから一度手術をすれば、時間がたってもう一度眼内レンズを入れ直すということはありません。
昨年(平成13年)中に太田熱海病院で白内障手術を受けられた方は、40歳代の方から100歳近い方まで、324人ですが、すべての方が良い視力を回復されています。
手術のあと「こんなにはっきりと良く見えるようになり、手術はすこしも痛くなかった。こんなことならもっと早く手術を受ければよかった。」と手術翌日、眼帯をはずした瞬間に感想を言われる方がとても多いです。
白内障の治療について簡単に説明いたしましたが、手術は安全でその効果は驚くほどであり、痛みもないことがおわかりいただけたと思います。手術というと少し恐いイメージがありますが、白内障の手術は他の科の手術、たとえばお腹を切ったり、胸を開いたりする手術とはまったく違うのです。もし視力がおかしいと思ったら、迷わず眼科を受診して検査を受けてみてください。
あなた様の一日も早いご全快を祈っております。
ご質問、ご相談がありましたら、お気軽に眼科外来までお申しでください。
太田熱海病院 眼科
(イラスト:野崎なぎさ)
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