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繰り返す鼻出血

太田西ノ内病院 耳鼻咽喉科

「鼻血が出始めてもう20分も止まりません。どうしたらいいでしょうか?」

鼻出血は誰でも一度や二度は経験したことのある症状かと思います。しかしながら、繰り返して起こる鼻出血もしくは長時間・多量であったりすると不安も大きくなります。ここでは鼻出血を小児と成人の場合に分けて考えたいと思います。

【小児の鼻出血】

鼻こすりや鼻ほじりなどの物理的原因による鼻粘膜の前方からの出血がそのほとんどです。その原因としてアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)が背景にあることが多く、その治療を行うことで鼻出血が改善することもしばしばです。ただし、稀ではあるものの出血しやすい腫瘍や先天性の血液疾患が隠れていることもあり、繰り返して多量の出血がある場合には専門医の受診をお勧めします。

【成人の鼻出血】

成人においてはその原因が明らかでない鼻出血が7割を占めるといわれています。残りは炎症(アレルギー性鼻炎・鼻副鼻腔炎)、外傷、腫瘍、異物、血液疾患、循環器疾患、薬物性(抗血小板薬など)など小児に比べ複雑な背景により出血する例も多く含まれています。また、救急で当科を受診される鼻出血の患者さまでは、高血圧の初発症状のひとつとなっていることがしばしばあります。早朝や入浴後に鼻出血が繰り返し出る場合、治療の必要な高血圧を起こしていることがあるのです。こういった場合には血圧のコントロールを総合診療科で行っていただく事もあります。このような鼻出血も繰り返しているうちに粘膜損傷が大きくなり止血が困難になるため、入院治療やレーザーなどの外科的治療が必要となる場合もあります。重症化する前に専門医を一度受診することをお勧めします。

★ 鼻出血の応急処置のポイント ★

(1) 血液がのどに回るのを防ぐため仰向けにならないで座位になる。血液を飲み込むと吐き気の原因になるので流れた血液は口から出すようにする。
(2) 鼻翼(小鼻の部分)を少し痛むくらいにつまんで圧迫する。圧迫は15分間程度続ける。また、鼻内にカット綿などを挿入してもいいが出し入れを繰り返さない。挿入するときは一個のみにする。(2個以上入れると奥に入り込むため)
(3) 以上を30分以上続けても止血しない場合は専門医を受診してください。
 
 

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