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腰痛と上手くつき合っていく方法

太田西ノ内病院 整形外科

 整形外科外来を受診される腰痛患者さんは非常に多いのですが、病院にかからずに我慢をしているうちに治ってしまう方や、民間治療を受けている方も含めますと、かなり多くの方が腰痛を経験していることになります。今回は、腰痛についてお話ししますが、自分の症状と照らし合わせて参考にしていただきたいと思います。
 一言に腰痛といっても、その原因と程度は様々ですので、気楽に構えていて良いものか、何か重大な事態が潜んでいるのかが、皆さんの不安の種だと思います。特に、腰痛だと思っていたら癌であったなどという噂話を聞くと、息咳ききって病院へ向かうことになるでしょう。そのような腰痛は、1)横になって休んでいるだけでも痛い(安静時痛または夜間痛)、2)鈍痛であるが体調が思わしくなく貧血や体重減少、その他腰以外の症状がある。などが、注意するべき特徴です。
 「こし」が原因の腰痛は、あの忌まわしいギックリ腰の時でさえ、横になって休んでいるときはあまり痛くないといったように、運動痛が特徴です。しかしながら、足に響くような痛みや痺れがある(坐骨神経痛)、2ないし4週間以上痛みが落ち着かない、熱が出始める、などの時は速やかに診察を受けるべきです。
 さて、以上のような重大な症状ではなくいわゆる普通の腰痛に悩む方が大部分と思われます。内科では「成人病」といわれていたものが「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。治療よりも予防に重点が置かれ、また、生活の中で自ら治療に参加する意識を高めるためであると思われます。腰痛を何度も経験されている方は、もうお気づきと思われますが、まさに生活習慣と腰痛は密接な関係があります。腿や股関節周囲の充分なストレッチとともに、適度なウォーキングや軽いジョギングなどを行い、標準体重を維持することで、かなりの腰痛は減少します。TVなどの影響で、食事に対する関心は皆さんが多いに興味を示すものの、体を動かすことに対しては難色を示す場合が多く、いざ腰が痛くなってから、みよう見まねで腰痛体操を数回やってみるに過ぎない。
実は、腰痛がある時は、むしろ安静が必要で、痛くないときに体操を行うのが正しい方法です。教科書には、腹筋と背筋を鍛えましょうと説明されていますが、特に意識せず、ウォーキングなどの全身運動の方がむしろ好ましいと思えます。
 しかしながら、神経痛のある場合は話は別で主治医に良く相談したほうが良いと思われます。最後に、腰部椎間板ヘルニアは今やポピュラーな病気であり、なるべく手術をしない傾向に変わりつつあります。もちろん手術をしなければならない場合もあります。いずれにしても、腰痛になったときの一番の注意点は、なったときに無理をしないということでしょう。皆さん、上手におつきあいして下さい。

 
 

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