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膀胱炎

太田西ノ内病院 泌尿器科

 膀胱炎は尿路感染症(腎、尿管、膀胱、尿道などの感染症)の1つであり、膀胱に細菌感染を起こすことにより起こります。他の尿路感染症と同様に、単純性膀胱炎と複雑性膀胱炎の2つに分けられます。単純性とは原因となる基礎疾患のないものであり、複雑性とは何らかの基礎疾患(前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿路奇形、尿路結石、腫瘍など)がありその結果生じたものです。
単純性は適切な治療ですぐに治りますが、複雑性は基礎疾患を治療しなければ再発、再燃を繰り返します。診察は、問診、腹部所見、検尿(男性では中間尿、女性では初診時は導尿)などで行います。
  膀胱炎の症状は頻尿、排尿時痛(おしっこのときの痛み)、残尿感などの膀胱刺激症状で、発熱などの全身症状は認めません。膀胱炎の原因は細菌の逆行性感染(おしっこの出口からの感染)であり性的活動期の女性に多く見られます。単純性膀胱炎では約80%が大腸菌によると言われています。治療は抗生剤の内服であり、患者さんには普段より水分を多くとるように指導しています。また、繰り返しやすい病気ですので、私たちは膀胱炎についての簡単なプリントを外来でお渡ししています。症状はだいたい2〜3日で改善することが多いようです(個人差はありますが)。膀胱炎の患者さんの検尿で血尿(肉眼的血尿または顕微鏡的血尿)を認めることはよくありますが、治療後に膿尿、細菌尿などが改善しても血尿が続く場合は基礎疾患の存在が疑われるので、必ず1週間後に外来に来ていただき検尿を施行しています。
  膀胱炎は女性に多い病気ですが、幼少児期(膀胱尿管逆流現象、腎盂尿管移行部狭窄などの尿路奇形)、老年期(前立腺肥大症、神経因性膀胱などの下部尿路の機能的、器質的通過障害、腫瘍)では基礎疾患が原因となる複雑性尿路感染症の場合が多く、泌尿器科での専門的な検
査、治療が必要です。とにかく尿に関する症状がありましたら気軽に泌尿器科を受診して下さい。

【文献】
1) 泌尿器科外来診療 臨床泌尿器科第54巻増刊号
2) 臨床泌尿器科のコツと落とし穴@ 検査・診断・薬物療法

 
 

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