太田西ノ内病院 泌尿器科
前立腺は男性にのみ存在し、膀胱の下で尿道を取り囲むように存在する。大きさは成人男性でクルミ大(10〜20g)である。働きは精液の一部を分泌している。
前立腺肥大症とは尿道に隣接する移行帯(transition zone)より発生する良性腺腫が、機能的および機械的閉塞をおこし、尿の排出障害(下部尿路通過障害)を呈する疾患である。ただし前立腺肥大症に伴う排尿障害は、下部尿路通過障害だけでなく、膀胱利尿筋収縮力の低下(impaired contruction)・過敏になる場合(detrusor instability)、加齢の影響も加味される。また前立腺肥大の程度と症状は必ずしも相関しない。
症状は排尿相症状と蓄尿相症状に大別され、排尿相症状は尿勢の減弱、排尿時のいきみ、排尿の中断などである。蓄尿相症状は、(夜間)頻尿、尿意切迫、尿失禁などである。しかし前立腺肥大症に特徴的な症状はなく、症状のみで前立腺肥大症を診断することはできない。
問診の他、当院で行っている検査は尿検査、尿流残尿測定、前立腺腫瘍マーカー(PSA)、直腸診、エコー等である。
治療は、前立腺肥大症は良性疾患であるためすべてが治療を必要とするわけではなく、検査
所見、自覚症状、現在の排尿の満足度を合わせて治療方針を決定している。治療の基本は薬物療法であり、機能的閉塞に対してはα遮断剤、機械的閉塞に対しては抗アンドロゲン剤を投与する。尿意切迫等の膀胱刺激症状に対しては、植物製剤、漢方、抗コリン剤等を投与する。薬物療法の効果は3割から5割である。
繰り返す尿閉・尿路感染症、腎機能低下、コントロール不能の血尿等の場合、当院では前立腺重量に応じて、開放性手術、内視鏡手術を行っている。
排尿困難でお困りの方がいましたら一度来院してください。
(参考文献 前立腺肥大症に伴う排尿障害対策 河邊香月編 医事出版社)
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