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医学小知識

血尿のでたとき

太田西ノ内病院 泌尿器科

 血尿が出た時とは、腎糸球体から外尿道口までの尿路系に何らかの理由で血液が混入する病態が血尿ですから、腎尿管、膀胱尿道の疾患の有無を詳しく検査する必要があります。血尿は肉眼的血尿と顕微鏡的血尿に分けられます。まず肉眼的血尿が出た時に、泌尿器科外来を受診しますと、症状の有無(側腹部痛、排尿時痛、無症候)の問診を受けます。無症候であれば、まず尿路腫瘍(腎尿管、膀胱、前立腺)を疑わなければなりません。又側腹部痛があれば、尿路結石をまず疑い、排尿時痛があれば膀胱炎、前立腺炎をまず第1に疑います。
 検査としては、まず尿路系(腎尿管・膀胱・前立腺)の超音波を施行します。これにより、腎実質の性状(腎腫瘍の有無)、腎結石、膀胱腫瘍、膀胱結石などが大部分診断がつきます。次に腎孟・腎杯の形状、尿管の形態、膀胱の形態を知るためには、経静脈性腎孟造影(IVP)を施行します。それでも診断がつかなければ、CT、MRI、血管造影、内視鏡検査(膀胱鏡、尿管鏡)があり、今までの諸検査で99%は診断は確定するはずです。諸検査は浸襲の低いものから始めるのが原則です。

 顕微鏡的血尿で外来を受診する場合は、2次スクリーニングとして尿中細胞診、超音波検査、採血(血液検査)を施行し異常があればCT、MRI、内視鏡検査と続くか、又は腎臓内科への依頼となります。
 さて診断がつけば治療ですが、当科では、県中部の中核病院としての性格が非常に強く、悪性腫瘍の患者さんの割合が非常に多いのが特徴です。尿路悪性腫瘍が見つかれば、入院の上、手術となります。膀胱癌については、治療法は内視鏡手術(経尿道的操作)、開腹手術(膀胱全摘、尿路変更術)、放射線療法、化学療法などがあり、癌の浸潤度により決定します。尿路変更としては、患者さんのQOLを考えて小腸を約60cm利用しての回腸代用膀胱を造設する新しい治療法を積極的に施行しております。又膀胱癌の膀胱温存に対しても力を入れており骨盤動脈抗癌剤注入、放射線照射の併用なども施行しております。又他の尿路生殖系の腎癌、前立腺癌、腎孟尿管癌、精巣癌に対しても積極的に加療しております。尿路結石に対する治療としては、観血的手術をせずにすむ体外衝撃波結石破砕術(ESWL)があり、結石の大きさにもよりますが、約1〜2週間の入院加療で充分です。以上のように血尿が出た場合には、症状の有無にかかわらず泌尿器科を受診することをお勧めします。月〜土曜日まで午前中診療しております。

 
 

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