太田西ノ内病院 心臓血管外科
狭心症は、労作時(いつもより体をたくさん動かした時)に自覚する胸の重苦しさや痛みを症状とするものが多く、それは心臓を栄養している血管(冠動脈)の中枢部に動脈硬化によって狭い部分が出来、血液が心臓の隅々にまで行き渡らなくなったためのものです。狭心症は、放置すれば心筋梗塞に至る可能性が高く、ときには命を奪ってしまう病気ですから早めの診断と治療が肝心です。狭心症の治療は三段階あり、まずはお薬による内服治療、次にカテーテルによる血管内治療(血管の中から狭い部分を膨らませる)、そしてバイパス手術による外科的治療となります。バイパス手術は文字通り狭くなった冠動脈をジャンプして新しい血液の通り道を作る手術です。成人病の増加に伴って、この手術は日本で年間約1万8千例以上行われており、成人に対する心臓手術の約6割を占めています。バイパスに使う血管は患者さん自身の胸の裏側の動脈、手の動脈、胃の動脈(それぞれ直径2〜3ミリほどです)、足の静脈などを組み合わせて使い、髪の毛の半分ほどの太さの糸で冠動脈に縫い合わせ、新しい血液の通り道を作って心臓を栄養する血流を増やします。人工心肺という機械(心臓移植などに使用するもの)を使い、心臓を停止させて行うことが一般的でしたが、現在では、体への負担を軽減するために、人工心肺を使用しないオフポンプ冠動脈バイパス手術が主流となっています。手術時間は4〜5時間で、手術後の平均入院期間は約3週間です。バイパス手術の効果は大きく、手術前にはきびしい運動制限やたくさんのお薬を欠かさず飲まなければならなかった患者さんが手術後には自転車をこいで外来に通院出来るようになったり、ゴルフを楽しんだりすることも可能になります。当院循環器病センターでは循環器内科と心臓血管外科との緊密な連携により、内科的な薬物治療に血管内治療と手術を組み合わせて、最小限の浸襲で最新かつ最大限の治療効果が得られるよう努力しております。
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