太田西ノ内病院 外科
胆石症は、脂肪分の多い食事を食べた後などに、腹部の右の肋骨の奥やミゾオチなどに急に痛みを感じ、同時に吐き気を覚えたりすることを契機に発見されることが多い病気です。痛みは背部や右肩で感じる場合があることも特徴です。
胆石が、胆道(肝臓でつくられた胆汁が十二指腸まで流れていく道筋のこと)のどこに存在するかによって、(胆)嚢内結石症、総胆管結石症、肝内結石症などと区別して呼ばれ、それぞれの病状、病態によって治療法が選択されることになります。
治療としては、@非手術的療法……経口的胆石溶解療法、体外衝撃波破砕療法(ESWL)、A内視鏡的療法、B手術的療法などがあります。この中で、ESWLは現在あまり行われなくなっています。
ここでは、手術療法について簡単にふれることにします。
総胆管・肝内結石症の場合、黄疸、胆道感染、肝機能障害、膵炎、ときには発癌などの原因になりやすいため、ほとんどの方で手術が必要となります。そして、手術の術式は数多くあり、一番ふさわしい術式が選択されることになります。
(胆)嚢内結石症の手術は、現在では、腹腔鏡下胆嚢摘出術(ラパコレ)が第1選択となってきました。当院でも、約7〜8割の方がラパコレを受けています。
では、ラパコレについて説明しましょう。
ラパコレとは、従来の開腹手術と違い、腹部に4カ所の小孔をあけ、そこから手術用の腹腔鏡や器械を挿入し、炭酸ガスを満たしたお腹の中をテレビモニターに写して、体外の操作で従来どうり胆嚢を肝臓からはがし、胆嚢管や胆嚢動脈を特殊金属クリップではさみ、切断し、胆嚢を体外へ取り出す手術です。この手術は、創が小さく目立たない、痛みが少ない、早くから社会復帰が出来るなどの利点があります。
当院では、入院中のできごと、検査、食事、治療のスケジュールを患者さんが十分に理解できるシステムを用意し、手術後4〜5日で退院して日常生活に復帰してもらえるように努めています。
しかし、(胆)嚢内結石症の全員の方がラパコレで手術ができるわけではありません。それは肝硬変、急性胆嚢炎の併発や、微小で非常に多数の結石、萎縮胆嚢、胆嚢癌が疑われる場合、また上腹部の手術歴などの場合、ラパコレが適応となることが少ないためです。
最後に、胆石症は病状、病態も、その治療法も多岐にわたります。専門医と相談し、御自分の病気について十分理解したうえで、医師と治療法を一緒に考えるようにすることが大事です。なにかありましたら気楽にご相談ください。
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