太田西ノ内病院 小児科
ネフローゼ症候群とは、腎臓から大量の蛋白(タンパク)質が尿に漏れ、血液中のタンパク質が少なくなり、時に浮腫(むくみ)がみられる病気です。
ネフローゼ症候群にはいくつかの種類がありますが、小児のネフローゼ症候群の場合、その約80%は原因不明で、腎臓そのものはほぼ正常な『微小変化群』と呼ばれるものです。一般的にその予後は良好で約90%の人はステロイドホルモン剤の投与により、場合によって最近種類が増えている免疫抑制剤を併用すれば尿蛋白がなくなります。その後徐々に薬を減量して行き、最終的にはステロイド剤を飲まなくするといった治療をします。しかし、微小変化群であっても、ステロイド剤が効かない『ステロイド抵抗性』の人や、あまり減量できないうちに再発を繰り返す『ステロイド依存症』の人は、ステロイドの総投与量が多くなり副作用が強く出るため、腎生検を行って組織型を明らかにし、その後の治療方針を決めます。いずれにしても再発が一度もないという人は少なく、約70%の人は再発を繰り返します。しかし、再発しても入院せず、外来で治療できることが多くなっています。多少の蛋白尿があっても、通学は可能です。成人になるまで病気を持ち越す場合も一部はありますが、多くの人は思春期になるころに治ります。
いずれにしても、この病気は長く付き合って行く必要がありますので、心配なこと、疑問点などは主治医とよく話しあって急に治療を止めたりしないようにしてください。
最後に、以下の症状が見られる場合は、早朝尿(朝起きてすぐの尿)を持って、小児科外来を受診くださることをおすすめします。
・急に体重が増える
・オシッコの量が減る
・体がだるい
・まぶたや全身が浮腫んでいる
・手足が太くなり、指で押しても戻らない
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