太田西ノ内病院 小児科
けいれんとは、意志とは関係なく筋肉に力がはいる状態をさす言葉です。大脳のはたらきの異常が原因で腕や足が動く場合を指すことが多いのですが、腹痛や、顔面のひくひくした動き、運動時のこむらがえり等も俗にけいれんと呼ばれます。けいれんの原因となる大脳の障害は、脳の感染症、頭蓋内出血、低酸素症、中毒などの急性のものと、てんかんなどの慢性反復性のものとに分けられます。今回は大脳が原因で起こる、熱性けいれん、てんかんという反復性のものについてお話をします。
40℃前後の発熱に伴って乳幼児に生じるけいれんで、脳炎その他明らかな疾患の無いものをいいます。全体の7%の人にみられ、本来は良性ですが、けいれんが30分以上続くと後障害が残ることがあるとされます。1歳を中心に6ヵ月から幼児期にはじまり、通常就学前までにみられなくなります。一度熱性けいれんがみられたら再発する可能性は30%、三回以上みられるのは9%とされています。発作が長く続くとき、左右差があるとき、初回発作や発作以外に麻痺や長引く意識障害を伴うとき、あるいは発熱後24時間以上たって発作が起こったときには受診が必要です。
大脳神経細胞の異常な興奮に由来する発作が反復する病気です。発作症状としては、運動、意識、知覚、自律神経系等の単独あるいは組み合わせなど様々です。あらゆる年令の人にいつでも起こり得ますが、脳の形成異常や周産期障害が原因のものは新生児期、乳児期に、体質性や発育に伴うものは幼児期、学童期に、血管異常や腫瘍によるものは成人に多く、外傷性はどの時期にもみられます。いわゆる遺伝性はごく一部です。診断には発作時の詳しい情報が最も大切です。本人とその場に居合わせた人から話を聞きます。脳波検査も重要ですが検査法と判読は慎重を要します。原因を知るためにX線CT、MRI等も行いますが発作毎に頻回に検査する必要はありません。発作が本人の日常生括や将来にとって不利益になる場合には薬による発作抑制をめざしますが、てんかんの種類によっては薬なしで様子を見る場合もあります。経過は原因疾患とてんかんの種類により様々です。
熱性けいれん、てんかんともに決して珍しいものでも恐れる病気でもありませんが、発作がくり返すときや典型的な経過でないときには、専門的な知識と経験に基づく対処が必要です。
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