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医学小知識

不安定狭心症とは

太田西ノ内病院 循環器科

1、狭心症とは

 狭心症とは、心臓に血液を送っている冠状動脈の流れが悪くなってしまうことで、一時的に心臓に血液が足りなくなる病気で、原因としては、動脈硬化によるものと冠攣縮によるものがあります。
 動脈硬化による狭心症の場合、冠動脈の一部に血液の流れを妨げるような狭い部分(狭窄部といいます)ができてしまうので、心臓が一生懸命働こうとする運動時や興奮時に充分な血液が流れない状態になります。その結果、心臓が要求する血液が足りなくなり、胸全体がしめられるような痛みや圧迫感が出現します。これがいわゆる狭心痛で、一般的には5ないし10分の安静で徐々に症状は軽くなってきます。このようにして起こる狭心症を起こり方から労作性狭心症といいます。
 冠攣縮とは、普段は正常に流れている冠動脈の一部が急に縮んでしまう病気で、結果として急に心臓に血液が流れづらくなってしまうので狭心痛が出現します。典型的な場合、夜間就寝中に胸が苦しくて目が覚めます。朝方から午前中の時間帯に症状が出やすい場合にはこの病気を疑う必要があります。この狭心症は、起こり方が先に述べた場合と異なり安静状態でも起こるので、安静時狭心症あるいは冠攣縮性狭心症と言います。
 狭心症が起こる原因として、以上述べた2つが挙げられますが、どの原因が多く関わるのか、
あるいはどのような治療が有効であるのかは個々の患者さんで異なりますので、はっきりとした診断・治療は専門医におまかせ下さい。

2、不安定狭心症とは

 前項では狭心症の原因からみた分け方をお示ししましたが、起こり方による別の分け方もあります。たとえば、”いつ登っても階段を3階まで登ると決まって狭心痛が出る。”というような場合は、症状がでる状況が一定で予想できるので、2階まで登るぶんには何の問題もなく日常生活ができます。この様な場合、安定狭心症と表現し、ある程度の生活制限と服薬治療をうければ快適に暮らせます。
 反面、”今まで3階まで登ると症状が出ていたのに、最近1階まで登るだけでも胸が苦しくなる”というように、症状が軽い労作でも出やすくなった場合、あるいは”今まで何の苦痛もなく3階まで階段を上れたのに、このところ登っている途中から胸が重苦しくなってしまう”というように新しく症状が出てきた場合は、不安定狭心症と表現します。
 不安定狭心症の状態になると、症状がいつ・どの程度で・どのくらい長く起こるか、さらに症状が軽快するのかどうかもはっきりとは予想できず、最悪の場合には心筋梗塞になってしまう可能性もあるので、入院による厳重な治療が必要になります。
 このような状態にお心当たりのある方は、ご遠慮無く当院循環器科外来においで下さい。

 
 

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