TOP医学小知識>心筋梗塞後の日常

医学小知識

心筋梗塞後の日常

太田西ノ内病院 循環器科

 心筋梗塞が起こると、後遺症として心臓の一部に動けない部分ができてしまいます。その程度は、詰まってしまった血管の場所、急性期の再灌流療法が成功したかどうか、また、その治療が症状が出てから何時間で成功したか、等の事柄が関係してきます。例えば、発生してすぐの時期には心臓の動きは非常に悪くても、再灌流療法が非常に早く有効にできた場合には、退院前には見違えるほどに心臓の動きが良くなっていることもありますし、一方、せっかく再灌流療法が成功してもそれほど心臓の動きは良くならないままで慢性的な心不全状態になってしまい、御亡くなりになる患者さんもおられることも事実です。つまり、心筋梗塞といっても個々の患者さんに起こる後遺症は異なるわけです。当院では、緊急入院で急性期の治療をした後退院まで、個々の患者さんの心臓に起こった障害の程度に応じた心臓リハビリテーションをすすめ、社会復帰を目指すプログラムを組んでおります。最終的には退院前にそれぞれの患者さんの心臓の働きがどの程度回復したのかを心臓カテーテル検査で調べ、個々の患者さんに応じた退院後の生活指導を行います。
 一般的には、以下の点に注意して日常生活を送っていただいています。

定期的な通院、お薬の服用

心筋梗塞の再発、心不全発生の予防に有効とされているお薬を処方しますが、これは時間の経過で減量等は可能な場合もありますが、一般的には一生涯服用する必要があります。

冠危険因子の改善

冠危険因子とは、冠動脈硬化の進行を助長する危険性のある因子で、一般的には高脂血症、糖尿病、高血圧、喫煙、肥満が挙げられます。前3者はお薬の力を借りなければうまくコントロールできない場合が多いですが、タバコは個々の患者さんの確固たる意志の持ち方次第ですので、是非実現して下さい。また、肥満は食生活と運動のバランスで改善できるように努力して下さい。

適当な運動、規則的な生活

心臓が悪い、すなわち運動してはいけないという考え方は過去のものとなりました。積極的に定期的な歩行をすることをお奨めします。歩行速度、距離、時間等は個々の患者さんで異なりますので、勿論、担当医と相談の上ですが、一般的には、息が切れない程度の速度でうっすらと汗をかくぐらいの距離を、疲れない程度の時間歩くのは可能と考えて下さい。これによって足腰が鍛えられ、心臓の働きを助けることになるのも期待できます。
就労、旅行、性生活等もこの考え方に準じて判断してそう間違いはありません。但し、非配偶者間の性交渉は危険性が増すので避けて下さい。

 
 

一般財団法人 太田綜合病院 Copyright © Ohta General Hospital All rights reserved .