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特発性心筋症

太田西ノ内病院 循環器科

 特発性心筋症とは、原因不明の心臓の筋肉の病気のことを言います。その代表的なものに拡張型心筋症、肥大型心筋症があります。心臓は血液を送り出すポンプの役割をする臓器ですので、どちらの疾患も何らかのポンプ機能の障害が生じてきます。
 拡張型心筋症は心臓の筋肉の壁が薄くなり、収縮する力が落ちる病気で、原因はほとんどの場合不明です。重症な場合は心不全を繰り返します。心不全とは心臓がくたびれ果てた状態で、充分に血液を身体全体に送り出せません。そのために全身がだるいという症状が出現します。そればかりでなく、充分に送り出せない血液が肺や末梢にうっ滞するため、息切れやむくみ等の症状が出ます。ひどい場合は呼吸困難のため寝ていられなくなります。薬剤で治療が困難な場合は心室形成術(バチスタ手術)や補助人工心臓の手術をすることがありますが、このような極めて重症な患者に最も有効な治療法は心臓移植です。日本でも可能となりましたが臓器提供の不足からほんの僅かにしか行われていないのが現状です。
 肥大型心筋症は心臓の筋肉の壁が厚くなり、拡張することが障害される病気です。心筋の厚くなる場所によっては心室内に血圧の差が生じ、より心臓に負担のかかることがあります。原因はやはり不明ですが、遺伝が約半数に証明されています。心不全を生ずることは比較的稀ですが、一部に拡張型心筋症の病態に変化していく事があります。このような場合は、より重症です。だいたいは症状無く、良好な経過をたどりますが、若年で心筋が極端に厚い人、重症な心室性不整脈のある人は突然死をする可能性が高いと言われています。肥大型心筋症と診断された方は極端な肉体労働や過度な運動は控えるべきです。
 どちらの心筋症も重症な場合、突然死の可能性があります。それを予防する最も有効な治療法は植込型除細動器(ICD)で、当院など限られた施設でのみ施行可能な治療です

 
 

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