太田西ノ内病院 循環器科
冠状動脈が血栓(血液の固まり)で急に閉塞することで起こる病気が急性心筋梗塞です。この病気は特に発生直後が一番危なく、いわゆる突然死の原因となります。患者さんは病院まで来ることができれば、まず第一の関門は通過できたというわけですが、一度重篤な状態に陥った心臓がある程度落ちつくまでの約2週間、まだ予断を許さない状況が続きます。
この病気はいつ発生するか解りませんし、緊急的に治療が必要な病気ですので、いつでも対応ができるように循環器科の専門医や医療スタッフが24時間体制で勤務しております。
-急性心筋梗塞の治療-
急性心筋梗塞が発生すると、急激に血液の流れが悪くなるためにその領域の心筋は死んで動けなくなったり、非常に過敏になったりします。治療には、大きく分けて2つの目的があります。1つは詰まった血管をなるだけ早い時期に再開通させ(冠動脈再灌流療法)、死にそうな心筋の一部を助けることを目指すこと。もう1つは、心臓が充分に血液を送り出せなくなってしまったり(心不全)、命に関わる重症な不整脈が出てしまったり、心臓に穴があいたりしてしまうということがありますが、そのような出来事を未然に防いだり、または起こったとしても即座に対処することを目指すことです。勿論この2つを同時進行させることによって、心臓が受けるダメージをできるだけ少なくし、患者さんが元気で社会復帰できるようにお手伝いすることが我々スタッフの最大の目標であることは言うまでもありません。
緊急的に冠動脈の詰まっている場所を調べて、薬で血栓を溶かしたり、細長い特殊な風船や金属の筒(ステント)で詰まっている血管を広げたりして血液の流れを元に戻す治療法です。
心室細動、心室頻拍、高度の徐脈等の不整脈は発生すると即座に死につながるので致死的不整脈といわれていますが、急性心筋梗塞ではこのような不整脈が発生しやすい状況にあります。
これが発生した場合には、時間をかけてしまうと後で正常な脈に戻ったとしてもいわゆる脳死の状態になってしまう危険性もありますので、心臓に強い電流を流して脈を元に戻す治療(電気的除細動)や、心臓まで特殊な電線を入れて電気で心臓を動かす治療(心臓ペーシング)をおこないます。
心筋梗塞になってしまった心臓は、一生懸命がんばっても全身に充分な血液を送ることができなくなってしまうことがあります。この心不全でさらに心臓は弱ってしまいますので、心臓の働きを少しでも助ける必要がでてきます。方法として、特殊な風船を大動脈の中に入れて、心臓の動きにあわて膨らませたり縮ませたりする治療法(IABP)や、心臓に戻るべき血液をポンプで体外に取り出し、人工肺を通して酸素を多く含んだ血液として足の動脈に戻す治療法(PCPS)があります
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