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マロリーワイス症候群ー大酒家にご注意ー

太田熱海病院 消化器科

 ・・・お酒を飲みすぎて、気分が悪くなり吐いてしまった。2回目に吐いた時に真っ赤な血が出たのでびっくりして病院に来ました・・・このような訴えで救急外来を受診する方がいます。内視鏡検査をすると食道と胃の境目の粘膜が切れて出血しています。自然に止血する場合が多いのですが、大量出血の場合は内視鏡で粘膜を縫う治療をすることもあります。このように、吐いたときに食道と胃の境目の粘膜が切れて出血する病気を「マロリーワイス症候群」といいます。吐血はしなくとも、便が黒くなることもあります。嘔吐するときは、食道と胃の境界にかなりの力が加わります。大量に出血すれば命にかかわりますので、早めに救急車で病院に行くべきです。
 少量の出血であり傷が浅ければ、入院しなくてもよいのですが、大量出血の場合や傷が深い場合は入院して治療します。入院後は、絶食で点滴をします。胃酸の分泌を抑え粘膜を保護する薬で治療し、一週間ぐらいで退院できます。
 症状から診断は容易ですが、重傷度の判定や入院の適応判断のために内視鏡検査は必要です。観察のみのことも多く、クリップで縫う治療を行うこともありますが、気分が悪いときに内視鏡を飲むのは大変です。内視鏡の刺激で嘔吐が発生しさらに傷を深めることもありえます。原因は明らかなので、なによりも予防することが大切です。暴飲暴食を控えアルコールを飲みすぎないことです。しかし、良くないとわかっていてもついつい飲みすぎてしまい、嘔吐後に血を吐いたときは、早めに病院に行ってください。

 
 

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