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虫垂炎を疑う時

太田西ノ内病院 消化器センター

 急性虫垂炎は、腹部救急疾患の中で最も頻度の高い疾患であり、手術の対象となる代表的外科疾患の一つです。
 虫垂は盲腸盲端部にあり、通常回腸の盲腸移行部の下2.5cmに開口し、成人虫垂の長さは平均8.5cm(2.5〜22.5cm)、外径平均0.8cmのもので、消化管の中で最もリンパ組織が発達しています。そのリンパ組織の発達が著しい10〜20歳の若年者に、急性虫垂炎は多いとされていますが、小児から高齢者にも見られます。原因としては、食物残渣などの腸管内因子により虫垂が閉塞し粘膜の循環障害が起こり、腸内の細菌感染が生ずる閉塞性腸炎と考えられています。
 虫垂炎は、保存的治療が十分期待される可逆性炎症であるカタル性虫垂炎と手術が必要である蜂窩織性虫垂炎、壊疽性虫垂炎に分けられます。小児では感染防御機構がまだ不十分であり、虫垂壁も薄いため、また高齢者は免疫の応答が低いため炎症反応が、病状を十分に反映しないために重症例が多いとされています。3歳以下の小児は虫垂が漏斗状になっているため閉塞機転が少なく虫垂炎は少ないとされていますが稀に見られます。また特に症状の訴えがはっきりしない小児に関しては診断が困難なことも多く、入院して経過を見ながら診断することもあります。
 症状としては、軽度の嘔気があり、心窩部や臍周囲から痛み始まり数時間で次第に、右下腹部に限局してくるのが特徴的な経過です。腹部触診所見で右下腹部中心の圧痛があり、反跳痛などの腹膜刺激症状を認めれば、手術の適応と考えられます。
鑑別疾患としては、(1)盲腸、上行結腸憩室炎、(2)回腸末端炎、(3)腸間膜リンパ節炎、(4)急性腸炎、女性の場合(5)婦人科疾患(卵巣のう腫、子宮付属器炎、子宮外妊娠等)
があり、鑑別するには超音波、CT検査等の画像診断が有用です。
 当院では中学生以下は小児外科で、高校生以上は一般外科で診断治療を行っております。

 
 

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