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脂肪肝と肝硬変

太田西ノ内病院 消化器科

 消化器外来に於いて脂肪肝は最も頻度の高い疾病です。検診の普及に伴い、肝機能検査に異常が見られ二次検査に来院される方が多いようです。健康人の肝臓中にも約4%の脂肪分が含まれています。肝臓に含まれる脂肪は中性脂肪が主で、肝細胞の30%以上に脂肪が蓄積した場合病的と考え脂肪肝と呼びます。種々の原因で惹起されますが過栄養、肥満、糖尿病、アルコールの過剰摂取が多いようです。他に低栄養状態、ステロイドなどの薬物、内分泌疾患など特殊な病態もあります。自覚症状は乏しい事が多く時に易疲労感、右上腹部重圧感を訴える事もあります。検査成績ではGOT,GPTの軽度上昇(50〜150単位 過栄養性ではGOT<GPT、アルコール性ではGOT>GPT)が多くChEやγGTPの上昇を伴います。診断の確定には肝生検という組織検査が必要ですが、最近では臨床検査と腹部エコーなどの画像診断でほぼ確定診断されています。治療は原因の除去即ち禁酒や栄養摂取の制限、適度な運動等で、可逆性の疾患であり予後の良い疾患です。ただしアルコール性の重度の脂肪肝は次に述べる肝硬変に進行し生命に関わることもあるので節度ある飲酒が大切です。最近のトピックスとして、非アルコール性の脂肪肝炎と呼ばれる病態があり肝硬変に進展することがわかってきました(NASHと呼ばれる)。これは肝臓専門医の診療が必要です。
 あらゆる肝臓病の終末像が肝硬変です。肝細胞が増生した線維性結合組織に包囲され、肝臓の有効血流量が減少し肝細胞の物質交換ができなくなります。腹水が溜まり、黄疸になり、肝性脳症や食道静脈瘤破裂、更に肝細胞癌が発生しやすく長期生存が困難です。原因としては、日本ではアルコールよりもウイルス性の肝硬変が圧倒的におおい。肝硬変に至る前に発見し適切な治療を受けることが大切です。お気軽にご相談ください。

 
 

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