太田西ノ内病院 呼吸器科
仕事の作業中に有害な粒子、霧、蒸気、ガスなどを吸いこむことで発症する肺疾患のことを言います。吸入したものがアレルギー反応をおこして発症ものや長期間大量に吸入することで発症するものや発がん性因子として作用する場合があります。職業性喘息と塵肺が代表的な疾患です。発がん性が注目されているのが石綿(アスベスト)肺です。
職業性喘息は職業に関連したアレルゲンに晒されることで気管支喘息の発作を起こす状態で
す。アレルギー反応が重要な働きをしています。牡蠣打ち作業者のホヤ喘息と、こんにゃく製粉業者のこんにゃく喘息、プラスチック加工業者ノイソシアネート(TDI)喘息、蕎麦屋のそば喘息などが様々なタイプの職業性喘息が報告されてます。
粉塵作業に伴う疾患として、岩石の掘削を行なうトンネル工事や炭鉱労働者にはおこる塵肺は珪肺と呼ばれています。珪肺は結核の合併症もあることで有名です。石屋さんにも珪肺が比較的よく発症しています。金属粉塵作業では吸入する粉塵により溶接工肺、ベリリウム肺、ボーキサイト肺などがあります。
アスベスト(石綿)は耐火性にすぐれていて安価なために造船や建築など多方面に長期に長く使用されてきました。この石綿(アスベスト)肺も塵肺の一種ですが、他と違って多彩な疾患をおこすこと、中でも悪性中皮腫は致死性の高い疾患であることから注目されています。発症までには20年以上の長期間かかることと被爆量が少ない工場周辺の住民や家族での発症もあることに注意が必要です。他には肺癌、肺線維症の発症とも関係があります。また、良性の病変として胸膜が肥厚するだけの胸膜プラークというアスベスト被爆に特異的な病変が発見される人もありますが、これは癌化などの心配はありません。 |
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