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生活習慣病と睡眠呼吸障害

太田西ノ内病院 呼吸器科(睡眠呼吸外来)

 「いびきと睡眠時無呼吸」の欄で、睡眠1時間当たり20回以上の無呼吸のある患者さんが、9年後には約40%死亡していたという報告を紹介しました。ここでは、その原因が何かというお話をします。一部は、事故との関係です。睡眠呼吸障害の患者さんの自動車事故発生率は、少なく見積もっても、一般のドライバーの3倍なのです。チェルノブイリや米国のスリーマイル島の原子力発電所事故、スペースシャトル・チャレンジャー号の事故、エクソンのタンカーの座礁事故など、有名な大事故も、何らかの形で、睡眠呼吸障害に関わる原因があったと報告されています。しかし、睡眠呼吸障害での多くの死亡例は、直接的なものではなく、睡眠呼吸障害が原因となる生活習慣病によることが分かってきました。現在、北米を中心に2005年を目標に大規模追跡調査が行われていていますから、いずれ確定的な答えが出てくるでしょう。現在は、一般の市民に比べて、睡眠呼吸障害の患者さんの生活習慣病の有病率は、高血圧が2倍、心筋梗塞が3倍、脳血管障害が4倍とされ、糖尿病の有病率も大変高いことが報告されています。確定的な報告ではありませんが、睡眠呼吸障害が、うつ病の原因になるとか、老年性痴呆とも関係するとされます。
 従って、いびきや、睡眠呼吸障害を確実に診断し、必要な場合には治療を行うことが、社会的に重大な問題で有るばかりでなく、個人の生活の質(QOL)を決定する重要な問題なのです。
 治療は、CPAP(シーパップ)といって、睡眠時に鼻マスクから陽圧の空気を吸入する方法が劇的な効果をもたらします。
 診断には、専門的な知識と装置が必要になりますので、当科外来を受診してください。

 
 

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