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いびきと睡眠時無呼吸

太田西ノ内病院 呼吸器科(睡眠外来)

 1992年に全国の4つの大学の共同で、いびきに関連する調査を男女合わせて3,257名について行った結果では、およそ13%の人が、習慣的ないびきをもっていました。この調査対象は15歳から89歳にわたる一般市民でしたが、いびきは加齢と共に増加することが知られています。一般に男性の方がいびきが多いのですが、女性も閉経期過ぎになると急増してきます。これまでいびきは、人知れず悩んではいるものの特別な病気だとは考えられませんでしたから、病院に行っても、あまり重大視されなかったと思います。
 しかし、最近、睡眠時無呼吸症候群という病気が大きな注目を集めていて、その最も特徴的な症状が習慣的な強いいびきなのです。いびきをかく人が睡眠時無呼吸症候群である確立はそれほど高くはないのですが、逆に睡眠時無呼吸症候群の患者さんの約95%に習慣性のいびきがあるのです。
 それでは、睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気かと申しますと、睡眠中の呼吸が、10秒以上にわたって止まるエピソードが、1晩に30回以上(あるいは睡眠1時間当たり5回以上)起きる病気です。ごく最近の報告では、東洋人は、呼吸が止まらないでも、覚醒時の半分以下に低下してしまうエピソードが多いとのことで、それも無呼吸と同じ悪影響をもちます。ですから、睡眠時無呼吸低換気症候群といったり、睡眠呼吸障害と呼んだりします。この病気での特徴的な症状は、いびきの他に、昼間の異常に強い眠気、知的活動の低下、睡眠中の異常な体動、朝起きた時の頭痛、吐き気、疲労感など多彩です。1時間に20回以上無呼吸がある患者さんと20回以下の患者さんを9年間追跡調査した研究では、20回以下の患者さんはほとんど亡くなっていないのに、20回以上の患者さんの約40%が死亡していました。それがなぜか、どうしたら良いか、という説明は、「睡眠呼吸障害と生活習慣病」の項でいたします。

 
 

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