太田西ノ内病院 血液内科
カポジ肉腫は多発性特発性出血性肉腫とも呼ばれ、ヘルペスウイルス8型(Human Herpesvir us-8 ; HHV-8)によって引き起こされると考えられている多発性の血管肉腫である。カポジ肉腫は皮膚、真皮の血管などの内皮細胞から多中心性に発生し、紡錘状細胞と脈管構造が様々な程度に混合した像を示す。臨床的に1)無痛性カポジ肉腫、2)リンパ節腫脹型、3)エイズ関連型の3型を認める。エイズ関連型以外の古典的カポジ肉腫は、主に下肢に発生し、進行が遅く比較的良好な経過をとるが、エイズ関連型は活動性の疾患である。
エイズ発見のきっかけになったのがカポジ肉腫とカリニ肺炎で、1981年、ロスアンジェルスの若者に多発した。現在では、エイズのために、カポジ肉腫は赤道アフリカで風土病的になっており、悪性の経過をとるものが多くアメリカや他の国々でも流行している。わが国では外国に比べカポジ肉腫の発生は少ないようである。
エイズ患者では、わずかに隆起したピンクや赤の丘疹、円形または楕円形、茶色または紫色の斑が上半身や粘膜に最初に発症する。皮膚に広く播種性に広がることがあり、腹腔、リンパ節、中枢神経などへ浸潤し、腫瘍に起因する出血も起きてくる。
悪性リンパ腫で使用する抗ガン剤を単剤あるいは多剤で併用する。インターフェロンαなども用いられる。エイズにおけるカポジ肉腫の経過は、免疫状態に左右され、多くの患者で延命効果は期待できないのが現状である。免疫状態を落とさないように抗HIV療法を行うことが大切である。
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