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骨髄移植、臍帯血移植

太田西ノ内病院 血液内科

 疾病の治癒を目的として、強力な免疫抑制剤・抗癌剤の大量投与や大量の放射線照射が行われた後には、正常な造血が行われなくなります。その時に、健康な人からいただいた骨髄を患者さんへ輸注し、正常な造血を回復してやるというのが骨髄移植(同種移植)です。患者さん自身の骨髄を使って行う場合もあり、この時は自家骨髄移植といいます。最近では、正常な造血を回復する方法として、骨髄移植以外に骨髄中の造血幹細胞を末梢血液中に誘導し、それをアフェレーシス(連続血球分離装置を用いて)によって大量に採収したり、分娩後の胎盤と臍帯に残った血液中に含まれる造血幹細胞を採取して実施されており、それぞれ末梢血幹細胞移植、臍帯血移植と呼ばれています。骨髄移植の有効な病気としては、急性白血病、慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、先天性免疫不全症、先天性代謝異常症などがあります。臍帯血移植のできる患者さんは、1人の胎盤から得られる臍帯血の量が限られているので、小児や体重の比較的軽い成人が中心となります。臍帯血移植と骨髄移植の選択は、同胞間に適合ドナーのいない患者さんでは必要になってきますが、個々の患者さんの状況や条件によって判断が異なります。また、移植方法には一長一短があり、可能性と危険性についての十分な検討が必要になります。移植には、患者さんとドナーの組織適合抗原(HLA抗原)が合うことが必要です。組織適合抗原が合っていないと、拒絶や移植片対宿主病(GVHD)と呼ばれる重大な合併症が起きてきます。骨髄移植では、HLA−A,B,DRの3種類各々2個ずつ、合計6個の抗原が適合していなければなりません。HLA抗原が合う確率は、同胞間で約25%です。同胞間にドナーがいない場合は、骨髄バンクへの登録が必要です。臍帯血については、まだ公的バンクができておらず、各地域毎の臍帯血バンクヘドナー検索の依頼をすることになります。

 
 

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