太田西ノ内病院 血液内科
貧血は血液の病気の中で最も多い病気です。赤血球はヘモグロビン(Hb)を入れた袋のようなもので、赤血球を造るためにはビタミンB12(VB12)が、Hbには鉄が必要です。赤血球の寿命は120日です。Hbは肺で酸素を取り入れて体の隅々まで運び、不用になった炭酸ガスを肺で離す重要な役目をしています。貧血とはこのHb濃度が正常範囲より減少した状態を指します。従って、Hb濃度の減少に伴って、体の各臓器は酸素不足になり、動悸、息切れ、倦怠感、易疲労感、頭痛、耳鳴り、めまいなどの症状が現れるようになります。
貧血の種類は、1)赤血球が小さくなる小球性貧血に鉄欠乏性貧血、2)赤血球の大きさが正常な正球性貧血に再生不良性貧血、溶血性貧血、いろいろな病気に随伴して起こる続発性貧血、3)赤血球が大きくなる大球性貧血に悪性貧血(巨赤芽球性貧血)があります。
主な貧血について述べます。一番多い貧血は鉄欠乏性貧血です。鉄は体の中に入ったら積極的に排泄される経路はありません。食事が普通にできる方なら、鉄が失われる原因として慢性の出血を考えねばなりません。不整性器出血、消化管出血などの原因を調べることが大切です。再生不良性貧血は造血幹細胞の障害で生じ、貧血の他に、白血球減少、血小板減少を合併し、発熱、出血などの症状を伴いやすいです。溶血性貧血は赤血球が主に脾臓で速く壊されるために生じ、貧血のほか黄疸、脾腫を伴い、尿の色が濃くなることが多いようです。遺伝性のものがあります。悪性貧血は、VB12不足で起こります。胃の粘膜から分泌される内因子と食物中のVB12が結合して、初めてVB12は吸収されます。胃から内因子が分泌されない方、胃を全摘出した方にみられます。続発性の貧血は2番目に多い貧血ですが、原疾患が改善しないと良くなりません。
Hbが減少して起きる血液疾患の貧血と、低血圧症などの方に起きやすい脳貧血を混同しないようにして下さい。
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