太田西ノ内病院 内科
甲状腺は、下頸部で気管の前面にあり、蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺ホルモンを分泌し、体の代謝を調節しています。甲状腺の病気としては、ホルモンの量の異常、腫瘍、炎症等がありますが、今回は、ホルモンの量の異常について説明します。
甲状腺ホルモンが多すぎる場合(甲状腺機能亢進症)と少なすぎる場合(甲状腺機能低下症)がありますが、どちらも症状が軽い場合には見逃されることもあり、注意が必要です。
まず甲状腺機能亢進症についてですが、ほとんどはバセドー病といわれているものです。甲状腺が腫れ、甲状腺ホルモンが多くなりすぎるために代謝が亢進し、食欲はあるが痩せる、汗が多くなる、動悸がする、手が震える、下痢気味になる等の症状が出ます。また眼が突出してくることもあります。放置しておくと非常に危険な状態になることもあります。治療法としては、のみ薬、手術、放射線によるものがありますが、それぞれ長所、短所があり、患者さんの状態と希望により選択します。のみ薬で治療することが多いですが、副作用にも注意が必要です。また、どの方法で治療を行っても、一度落ち着いた後も長期に経過をみていく必要があります。
甲状腺機能低下症は、慢性甲状腺炎によるものが最も多く、代謝が低下するため、寒がりになる、便秘気味になる、反応が鈍くなる等の症状が出、さらには、脱毛や声が嗄れることもあります。機能亢進症以上に見逃されることが多い病気です。治療としては、欠乏しているホルモンをのみ薬として内服することになります。のむ量が決まれば同じ量を内服し続け、時々血液中のホルモンの量を測定していきます。ほとんどの患者さんは、一生内服を続けることになります。
機能亢進症も低下症も、血液中のホルモンを測定することで診断が可能です。前述した症状のある方は、一度ホルモンの検査を受けてみて下さい。またどちらの病気も、きちんと治療を受けていれば、日常生活には、まったく問題ありません。どちらも女性に多い病気ですが、安定していれば妊娠、出産も問題ありません。
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